PARCO | 福井をもっと遊べる場所へ。子どもから大人まで楽しめる多様性のある場所を作る。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大学の授業オンライン化やアルバイト先の時短営業など、大学生たちは大きな影響を受けています。中には留学の予定がオンライン留学に切り替わったり、研究のためのフィールドワークができなくなったりと、希望した分野での学びが制限されていることも。
全ての大学生が影響を受ける中、仕方がないと諦めるのではなく、こんな時代だからこそ「新しい時代に、新しい遊び場を」をテーマに掲げ、2021年の5月に結成して活動を始めた学生団体があります。

今回は、福井中央公園とその隣りにあるOOTEⅢ(オオテサード)を拠点に活動する「+PARCO」の皆さんを紹介します。

+PARCO立ち上げのきっかけ

お話を伺ったのは、+PARCO代表の金崎千花さん(中央)と、メンバーの村上明日香さん(右)、桝井聖佳さん(左)の3名です。メンバーは、福井大学の国際地域学部に所属している3年生が中心(1名は福井工業大学に所属)。学年60人中5人がAO入試で入学しており、そのAO入試組を代表の金崎さんが誘って集まったのだとか。

金崎
「私たちが活動する福井中央公園ではナイトマーケット』というイベントが毎週行われています。そこに『学生も何か出店してみない?』という声をかけていただき、やってみるかと立ち上がったことが+PARCO結成のきかっけです。やりたいことが似ているメンバーなので、すぐに集まって取り組みがスタートしました。」

※ナイトマーケットは一般社団法人地域フロンティアラボラトリーが毎週金曜日の17:30~20:00に実施。出店したい方が入れ替わりで出店されており、毎週賑わっている。

村上
「メンバーはインスタ映えとか、お洒落な空間が好きなんですが、福井にはまだそういうスポットが少なくて、しかもコロナ禍で遊べる場所が減りました。そんなときに、声をかけて下さったナイトマーケットは、テントやランプなどがたくさん並び、日が暮れるとすごくお洒落な雰囲気になるんです。ここだったら私たちが目指すインスタ映えが出来るんじゃないかなと思い、出店し始めました。」

金崎
「私たちはナイトマーケットの中で『』ナイトピクニック』という取り組みをしています。お誘いいただいたときの提案が、『何でも好きなことをして良いよ』だったので、レジャーシートの貸し出しとか、韓国フードのクロッフルの販売とか、野外上映会もやってみたい!と、この3つがすぐに決まり、取り組んでいます。」

村上
「他にも季節を活かしたイベントとして、コロナで浴衣を着る機会が無くなってしまった代わりに浴衣ナイトをしようと計画していましたが、緊急事態宣言が発令されて流れてしまいました。

代わりに10月29日(金)に福井駅前でみんなで仮装したら楽しいだろうなと思い、ハロウィンナイトを開催しました。お客様の素敵な仮装と素敵な笑顔、そして温かい声をたくさんいただいて、メンバー一同嬉しさと、余韻に浸っています。」

+PARCOに集まる若者たちと、お仕事終わりにふらりと訪れる方が混ざり合っていき、化学変化が起こってほしいと考えているメンバーたち。活動に興味を持ち、応援してくださる方もたくさんいらっしゃるのだとか。

「+PARCO」という名前に込めた意味

金崎
「声を掛けてくれたのが私のバイト先であるcafe Mareのオーナー(兼一般社団法人地域フロンティアラボラトリー代表)です。『Mare』はイタリア語で『海』という意味。じゃあ私たちはイタリア語で『公園』だ!と思いつき、調べてみたら『PARCO』でした。」

村上
「+PARCOを始めるまでは、私は中央公園に全然来たことがありませんでした。駐車場も少ないし、用事が無い。でも、今は活動を通して中央公園の楽しさを知ることができたので、みんなの遊び場にしてもらえたら嬉しいなという意味も込めて+PARCOという名前がしっくり来ています。」

桝井
「私も、たくさんの人が集まる場所ではあるんですが、ただ通り過ぎる場所になってしまっていてもったいないと感じていました。私は移動販売のキッチンカー『EAT ME』でバイトをしていて、中央公園でもよく出店をしています。平日も土日も、小さい子どもとご両親が多くて、たまに下校時の高校生やペットの散歩をしている人がいるくらい。若者がわざわざ来る場所にはなっていません。中央公園の魅力を若い人にも広げていきたいなと思っています。」

活動を通して、それぞれの中央公園への想いを叶えていく+PARCOのみなさん。ポップな語感も、彼女らの印象とマッチしていてしっくりきます。まだ活動をスタートして4ヶ月ですが、徐々に注目を集めています。実際に活動をしてみての感想を聞いてみました。

金崎
「以前からカフェやイベントを開催して人を集めてみたいと思っていました。じっくりと計画を練らないといけないのでは…と漠然と考えていましたが、実は一歩踏み出すだけで簡単に実現するものだったということがわかりました。」

村上
「私は大学で人と人とのつながりを研究しています。コロナでつながりや交流が分断されたことについて実際にアンケートを取って、孤独感を感じたり自己肯定感が下がったというデータも取得していて、自分がこの状況を解消するきっかけになりたいと思っています。

たまたま+PARCOに犬の散歩で立ち寄られた方と、開催日以外に公園でばったり会って『メンバーに会えるのを楽しみにしとるんや~』と言ってくださったり、他にも2歳くらいの外国人の子どもが毎回常連で来てくれる。住み慣れていない土地で不安な中、安心してもらえる場所を作れていることが嬉しいなと思います。」

桝井
「コロナ禍で家に閉じこもってしまって、授業でもみんなに会えなくなって、オープンな性格だったのが内向的になってしまいました。だから+PARCOでみんなに会えることが嬉しいし、家から出て何かを継続することも自信につながって元気が出てきます。元の自分に戻れたかなと嬉しく思っています。

『インスタ見たよ!』や『次いつやるの?』と聞かれることもあります。

毎回やるたびに課題は出てきますが、伸びしろが有ることが嬉しいです。なんやかんや、自分たちが一番楽しんでいますね。」

取り組みの中で叶えていきたいこと

メンバーにはそれぞれ、裏テーマとして「活動の中で、SDGsの各分野で取り組みたいこと」があると話します。大学など、日常の中でSDGs(持続的な開発目標)に触れる彼女らの問題意識を聞きました。

桝井
「国際地域学部は『多様性』について学ぶ場所です。学んだことを活かして、LGBTQへの偏見が無いような町にしたいと考えています。偏見というのは、知るきっかけが無いとなくならないと思うので、野外スクリーンで多様性のある映像を流したり、いろいろな方同士が交流できるようにしたいです。」

金崎
「私は日本の見えない貧困が気になっていて、特に子どもの貧困について取り組みたいです。例えば自分の食事代にプラスをしたら、困窮する子どもたちに食事代として届くような仕組みとか。他にも、親の帰りが遅い子どもたちが+PARCOに遊びに来て、多世代に触れられるような場所になっていけば良いなと思います。」

村上
「移民や外国人労働者など、地域で生き辛さを感じている人たちが暮らしやすい世の中にしたいです。障害者が周りの目を気にして出歩けなかったりするのを無くしたい。生きづらさを感じつつも、+PARCOには遊びに来れるような場を目指したいんです。

国際地域学部には『グローカル』という言葉に惹かれて入学したので、地域からグローバルな視点で捉えていきたいですね。」

三者三様、それぞれの課題感を話す+PARCOのみなさん。普段から大学の友人たちとも、活発に議論をしているそうです。これらの問題を意識したことがない方にも知ってもらうため、たくさんの方に+PARCOに来てほしいと語ります。

桝井
「高校生のときに、アメリカで10日間のホームステイをしました。全員が『違うこと』を気にしていない環境に衝撃を受け、多様性を受け入れられる文化に魅力を感じました。

それまでは福井の良くも悪くも近所の目を気にする文化の中で、もどかしさを感じながら生きてきました。金髪に染めたとき、近所の方に『あの子どうしちゃったの?』と噂話をされ、家族にも否定されたことがありました。でも自分は自分です。髪の色が変わっても、中身は変わりません。似合う似合わないに関わらず、好きなことができるような空気感を作りたい。」

(アメリカでのホームステイ時のワンショット)

金崎
「まだまだ始まったばかりの活動ですが、たくさんの人と関わり合って化学変化を起こしながら『やりたいことをやれる人』を増やしていけたら良いなと思っています。」

最後に、3人の福井の好きなところは?

村上
「人が温かいところが大好きです。例えば県庁や市役所の方は違う世界の方かと思っていたら、すごく優しかったり、応援していただいたり。若者が活躍しやすいのが福井県の良いところだと思います。あと、千花ちゃんがバイトしているMareがある越前海岸の、夕日が落ちるくらいの時間が好きですね。」

金崎
「家が海の目の前なので親しみ深いということもありますが、本当に福井の海は綺麗だなと思っています。越前海岸で塩を作っている方や、海が見える場所でホテルを経営している方など、豊かな自然を魅力に感じて、それを生かして仕事をしている人が多いというのが、福井の魅力だと思っています。」

桝井
「ご飯がめちゃくちゃ美味しいところですね!

ずっと福井で生活しているとわからないけど、アメリカなど外に出てみてから、ご飯や水の美味しさに気づきました。誰に挨拶をしても元気よく返ってくるところも好きです。昔は自分が挨拶する側だったけど、大きくなった今は自分が挨拶される側でもあるので、小学生に挨拶されたりすると可愛いな〜〜って思います。」

大好きな福井を、もっと遊べる場所にしたいと話す+PARCOのみなさん。活動の幅はどんどん広がっていて、インタビュー中もこれからやってみたい企画をたくさん話していただきました。

遊びに行ってみたい、活動に加わってみたい、という方は、下記から連絡をしてみてはいかがでしょうか!

【+PARCO】
メンバー数:6名
所属大学名:福井大学、福井工業大学
Webサイト https://www.parco-fukui.com/
Instagram https://www.instagram.com/parco_01/