ふらっとふくい! | 関西から福井をもっと楽しめるように。地元出身者が集まり活動中。

福井をベースに活動している学生ってどのくらいいるんだろう?

そう思い、検索をしてみると「福井が、彼女です。」というタイトルのnote記事に辿り着きました。書いているのは増田叶夢(ますだ・とむ)さん。プロフィールには「福井とローカルに熱い大学生プレイヤー」とあります。

他の記事も読み進めていくと、増田さんは「ふらっとふくい!」という学生団体を運営しているということが分かり、今回の取材をお願いしました。

「ふらっとふくい!」は、福井県出身で関西の大学に通う4名が立ち上げた団体です。今回お話をうかがったのは大阪大学3年生の増田さんと、立命館大学2年生の三上さん。全員が福井のことを大切に思って活動をされています。

ふらっとふくい!という名前に込めた思いとは

「ふらっとふくい!」という名前には、3つのキーワードが含まれています。

  • メンバーが「ふらっと」集まってできたということ
  • みんなが「フラット」に集まれるというハードルの低さ
  • 福井を軸に集まれるというプラットフォームのふらっと(プラット)という意味

3つ目のプラットはちょっと無理やりかな…?と笑いながらも説明してくださった増田さん。いろんな年齢、立場の人がフラットに集まることができ、思いが表現できる場にしたいと考えておられます。

 「ふらっとふくい!」立ち上げのきっかけ

ふらっとふくい!が立ち上がったのは2019年の秋。どういった経緯で立ち上げに至ったのでしょうか。

増田「ある日、大阪府吹田市の下宿先の近所にあるエキスポシティで福井県のイベントが行われていました。なんとなく足を運んで、イベントの様子をInstagramのストーリーズ(24時間で消える投稿のこと。投稿一覧に残らないため、通常の投稿よりも気軽に利用されている。)にあげました。そうしたら、高校の同級生で関西学院大学に通う児玉から『何かやろう!』と連絡が来たんです。」

その後、同じ高校出身で関西圏の大学に通う奥島さんと三上さんも2人の勢いに集まって来たそうです。

福井県のマスコットキャラクターで恐竜がモチーフの「ジュラチック」と増田君

ふらっとふくい!の中心メンバーは、現在4人。

4人とも福井県立高志高等学校で面識があり、増田さん、児玉さん、奥島さんの3人は同級生。三上さんは増田さんが所属していた男子バレー部の後輩マネージャーでした。

この4人が集まったことで活動にも弾みがつき、福井県大阪事務所との連携など取り組みに幅が出てきたそうです。

地元、福井を考えるようになったきっかけは?

大学進学により地元福井を離れてからも、福井への熱い思いが途切れないふらっとふくいの皆さん。

筆者が大学生の頃に「出身県のことをこんなにも考えたことがあったけ?」と不思議に思い、その根源はどこにあるのかを聞いてみました。

ふらっとふくい!の4人:左から三上さん、増田さん、児玉さん、奥島さん

増田「小さいときから福井のことは好きでしたが、きっかけとなっているなと感じるのは、2018年に福井県で国民体育大会(通称:国体)が開催されたことです。そのときに県全体で福井を盛り上げようという空気や勢いがあり、当時高校生だった僕たちもその空気を強く感じていました。

 また、母校である高志高校には全国に先駆けて『探求学習』という科目があり、地域に根ざした学びを行っていました。

例えば、『あわら温泉にあるグランディア芳泉さんがお持ちの課題を受け取り解決に向けて協働する』など、地域の企業や社会に根付いた内容のものでした。こういった授業も一つのきっかけとなり、地元福井に目線が向いていきました。」

なるほど、元から強かった地元への気持ちが、高校時代にさらに育まれたのですね。

一方、三上さんは福井を離れ大阪に出てきて、ホームシックになったことがきっかけのようです。

三上「大阪ではいざというときに頼れる人がいなくて辛かったです。 福井での地域のつながりとか、人との対話のありがたみと重要性を感じました。

大学入学したての頃から福井に帰りたいと思っていたのですが、そんなときに増田先輩からふらっとふくいの活動の話をもらい、福井への恋しさから関わることにしました。」

大学に入るまでは都会暮らしに憧れていたという三上さん。

三上「志望大学は県外しか見ていなくて、人生の最後まで都会で暮らしたいと思って立命館大学(キャンパスは大阪)へ進学しました。大阪での暮らしも福井での暮らしも両方経験して比較することで、福井の良さが見えて来ました。」

ふらっとふくい!のメンバーで集まり話すうちに福井の良さに改めて気づき、福井愛が高まっていると話す皆さん。

増田「僕たちのいる関西では、福井の知名度というのはある程度高いんですよね。首都圏を拠点に活動している『ほやって福井!』という団体があるのですが、福井から首都圏へ進学した学生たちが関東での福井の知名度の低さから寂しいな…という思い、福井をもっとPRすべく活動されています。

ですが、ふらっとふくい!は福井をPRしたいという方向性ではありません。

県外へ進学した途端に福井との関係がプツンと切れてしまうような気がして寂しいという思いがあり、福井から関西へ進学した人たちが集まれる場を作りたいということが大きいです」

現在は、新型コロナウイルスの影響で活動が制限されていることもあるようですが、集まれる場を作りたいという思いから、様々な活動をされています。

色々な方と福井のことを話していると、「卒業したら福井に帰れとUターンを勧められるんでしょ?」と思われることが多いそうですが、 学生時代の今、福井の外にいるからこそ見える地元の姿や気づかなかった良さに気づきながら「福井を楽しみたい!」という思いがあるようです。

増田「Uターンは最終的に福井を良いなと思うからするのであって、義務ではありません。まずは福井を楽しむということをテーマに企画をしていこうと思っています。」

 福井県の高校生へ向けて、オープンキャンパスを開催!

2020年の夏には、「ふらっとふくい!」と「ほやっと福井!」でタッグを組み、福井県内の高校生に向けてオンラインオープンキャンパスを開催を開催されました。 

ホスト側の大学生は約70人、高校生は189人も参加したそうです。オープンキャンパスの様子は地元のテレビ局である福井放送のニュースに取り上げられるなど、注目を集めていました。

増田「新型コロナウイルスの影響で高校生の進路選択が難しくなると感じ、オンラインでオープンキャンパスができないかな…とうっすら考えていました。

そんな中、今年の1月に関東で活動するほやって福井!の方とお話しする機会があり、同じ問題意識をもっておられたことから、一緒にやろうという話になったんです。」

ふらっとふくい!のメンバーは大学2〜3年生なので、現役高校生との繋がりが多くなかったそうです。高志高校の教頭先生、校長先生をされていた方が福井県の教育委員会におられたので、そこを頼りに協力してもらえないかと話をして、関係を広げていったそうです。

増田「ふらっとふくい!や、ほやって福井!には関わっていないけれど、各地の大学に通う友人たちも協力してくれて、関東・関西だけでなく東北や九州と、福井県の高校生たちに全国の大学を紹介することができました。みんな紹介するスライドも力を入れて作ってくれて、楽しんでもらえたのではないかと思います。

高校生からの質問もたくさん出てきて、上手くいったかなと思っています。来年もやるのかどうかは新型コロナウイルスの状況にもよりますが、事後アンケートからフィードバックを貰い、次に活かす準備をしています。」 

 三上さんは、このオープンキャンパスイベントで自分の学校紹介で関わるのではなくフライヤーの作成を担当されました。

三上「デザインに興味が湧いてきて、やってみたいと思っていたところでした。でも、大学で政治を勉強しているのでデザインに関わる授業は履修できなくて。ふらっとふくい!のみんなは、私がデザインをやってみたいということを知ってくれていたので、フライヤー作成の話をいただき、貴重な経験をさせていただきました。」

初めての経験ということで、いろいろな先輩たちが応援してくれたのだとか。

大盛況に終わりましたが、裏側ではあれもこれも初めての経験で、バタバタとされていた皆さん。やってみた手応えはあったのでしょうか。

増田「オープンキャンパスをやってみて、ふらっとふくい!とほやって福井!の活動を知ってもらえたことがまず大きいと思っています。高校生に私たちの先輩の存在を伝えられたのもよかったですし、福井を盛り上げたい人が活動する場所があるんだという選択肢をもっと作ることができたらなと思います。今回は大学の説明がメインだったのですが、来年もやるのなら、僕たちの活動を紹介できればなと思います。」

コロナ第一波で世の中がざわついていた2020年4月には、Web会議ツール「zoom」で大学生活についての相談・座談会を開催。知り合いの新入生にハブになってもらい、10人弱の新入生を集めて1人暮らしのことなどざっくばらんに話しました。

増田「この他にも、福井に何か興味があったり、想いがあったりする人たちと福井を軸に集まれたらと考えているところで、noteを使った企画、Instagramを使った企画、ラジオ配信など様々な企画を作っているところです。」 

ふらっとふくい!が思う「福井」について

増田「福井に限らずかもしれませんが、依存できるところがいっぱいあると思います。僕の好きな本の一節に「自立するということは依存するということである」という言葉があったのですが、福井は都会に比べて依存できる所が多いと思います。

都会から見ると、田舎でつまらない場所と思われているかもしれませんが、そこには行ってみないと分からない愛しさがあるんです。昔からの雰囲気や風情を守ってやりたいことをやっている人や、地域が好きで色んなことをしている人がいる福井が大好きです。」

ふらっとふくい!が今後目指す所は?と聞いてみると3つの答えが返ってきました。

  • 「福井を楽しめる」という軸で広げてきたい
  • 福井をドキドキできるような場所にする
  • 集まりをもっと大きくしたいけれど、メンバーだから強制参加ではなく、柔軟に参加できる組織にしたい

と、増田さんと三上さんは話します。

ふらっとふくい!の活動を始めてから、友人と福井について話すことが多くなったそうです。増田 「福井には何もないと言いながら福井のこと好きだよねと言われ、実は福井のことを嫌いじゃなかったんだ、という気づきがありました。福井ってこういう一面があるんだね!と話しながら、みんなで福井について詳しくなって行っているというのが面白いなと思います。」

ふらっとふくい!の活動を通して福井への思いに気づけたと話す三上さんは同年代の人たちが、やりたいことを見つけてとことん楽しめるようになってほしいと話します。

三上「世の中には流行りに乗って周りと同じことをやっている人が多いなと感じています。でも一人一人個性があるので、流されるだけじゃなくてやりたいことを自分で選んで、本気で楽しんでほしいと思っています。私自身、『福井には何もない』と唱えていたのですが、自分を含めて福井の魅力を新たに作り出す人が増えていったら嬉しいなと思っています。

増田「ずっと興味があるのは人と地域の結びつきです。昔に比べ、必然的に人と土地が離れていく中でも、土地に想いを持つ人がいて、活動をしている姿を見て、それってどういうものなのか、どんな意味なのか、それを生み出すことはなんなんだろう…ということを研究したいと思います。やっていることがフィールドワークになるのがいいですね」

最後に、ふらっとふくい!増田さんと三上さんが福井県で好きなところは?

増田「好きな場所は大野です。親戚が大野で横田豊栄堂というかりんとう饅頭が有名なお菓子屋さんをしていて小さい頃から通っていました。まちを歩いているだけですごくレトロな装飾があったり、コンパクトなまちの中に暖かさがあって良い意味で密なんです。こんなまちが残っているんだと、見ているだけでも楽しいですね。

増田「ちなみに、大野にある伊藤順和堂のいもきんつばは、オーブントースターで温めて食べるとめちゃめちゃ美味しいです。七間通りと、ショッピングモールVio(ヴィオ)の中に店舗があります。これを食べないと人生半分損していますよ!」

三上「私の地元は福井市の清水町という場所で、平成18年に最後に福井市に入った場所です。福井市と鯖江市の境目にあって、他の人におすすめできるかといったら難しいですが、私は好きな場所です。」

三上さんの地元、清水町の田園風景

三上「おばあちゃんの家が福井市の殿下(でんが)地区というところにあって、子どもが少なくておじいちゃんおばあちゃんばかりの場所ですが、帰省したときにはどこよりもくつろげるなあ…と、毎回感じます。山に囲まれていて涼しいし、時間を忘れて縁側で寝転んだりゆったりできる場所ですね。」 

三上「大野へ行ったとき、風景に感動したことからカメラを買ったので、最近は写真を撮るようになりました。越前海岸に夕日を取りに行ったときは、綺麗で感動て、ここも好きな場所になりました。」

増田「ふらっとふくいを続ける中で、福井の好きなところが変わってきている気がします。こんな地域があったんだと知るようになって、僕ら自身が一番楽しんでいますね。」

 ふらっとふくい!の皆さんは、地元福井を軸に関西で積極的に活動をされています。福井からでてきて寂しさを感じている方や福井で何か活動したいと思っている方は、下記の連絡先から声をかけてみてはいかがでしょうか。

ふらっとふくい!

メンバー数:4名
所属大学名:大阪大学、関西学院大学、立命館大学

note https://note.com/furatto_fukui

Instagram @flat_fukui

メールでのお問い合わせ:furatto.fukui@gmail.com