学生団体おちょきん | 色々な価値観に触れられる場所であり、落ち着ける場所。

高校卒業後に福井を離れ、首都圏の大学に通っている学生は多くいます。離れた環境で暮らす中で、地元福井のために何かをしたいと考える人も少なからずいるんです。そんな人たちをつなぐ団体の一つが「学生団体おちょきん」です。今回は、東京女子体育大学の4年生でおちょきんの代表を務める、五島空(ごしま・そら)さんに話を聞きました。五島さんは福井県坂井市出身で現在は東京に暮らしておられます。

学生団体おちょきんってどんな団体?

五島さん曰く、おちょきんは一言でいうと「福井をPRする学生団体」だそうです。そのことは、実は団体名にも表れています。「おちょきん」とは福井の方言で「正座」を意味します。この言葉を選んだ理由は、福井の代表的な方言であることと、語感が可愛いことから、福井のことを気になる方が増えたらという思いからだそうです。

PRと言っても活動はさまざま。主な活動は、福井県出身で首都圏で活躍されている方を招いて講演会を行う「福井人と語る会」の企画と、百貨店などの物産展で福井の美味しいものを紹介することなど。また、福井県からイベント参加の誘いがあった際には、メンバーが個人的に参加することもあるそうです。

活動内容から企業との繋がりができることも多いため、就活に役立てるために参加する人も多いと言います。しかし、五島さんは「おちょきんの魅力はそれだけではない」と話してくれました。

「おちょきんでの活動は、就活で話すネタに使うこともできるし、生き方全体に役立てることもできると考えています。だから、就活以外のメリットを感じられたメンバーは、おちょきんでの活動を長く続けています。」

おちょきんのメンバーの中には、卒業後は福井に帰りたくて、福井の企業への就職を考える人が多いそうです。しかし、おちょきんの目的は、様々な企業と出会い関係を作ることだけではありません。ときとして、人生観や人生そのものに影響を与えてくれることもあるそうです。

実は五島さんも、人生観が変わった一人です。五島さんはおちょきんの活動から、何を得ることができたのでしょうか。 

たくさんの人生に出会う。五島さんがおちょきんで得たもの

五島さんは、福井県から届いたイベントのチラシでおちょきんのことを知ったそうです。

「実際にイベントに参加してみて、福井を感じられて落ち着ける場所だと思いました。福井と東京の距離は遠く離れていますが、その二つの場所をつなぐ貴重な場がおちょきんなんです。」

五島さんは、おちょきんでの活動を通して、たくさんの人に出会い色々な生き方があることを知ったそうです。

「おちょきんの活動では、『福井人と語る会』をはじめとした講演会を通じて、企業の社長さんと話す機会が多くあります。その中には、世界を巡った経験から事業を始めたような方もいました。そういった姿から、人生の選択の自由さや学び続けることの大切さを感じました。」

中でも、五島さんの印象に残っているのは、あるとき講演会で耳にした「自分がレベルアップすれば付き合う相手も変わってくる」という言葉だったそうです。この言葉は福井のIT・通信会社、株式会社オールコネクトの中川さんのもの。講演会での経験をきっかけに、同年代以外にも目が向くようになり、世の中の見え方が変わったと言います。

そして、おちょきんでの経験は五島さん自身の選択にも大きな影響を及ぼしました。

「大学4年で進路を決めなければならなくなったとき、私が選んだのは一般企業への就職ではなく、個人事業主としてハウスキーパーをすることでした。色々な方へ相談をして、熟考して決断しましたが、おちょきんの活動の中で学んだ選択の自由さが決め手になったかなと思っています。」

意欲的な選択に驚きつつも、五島さんにその後の長期的な展望について尋ねると、

「何年先かわかりませんが、いつか福井に帰ってスポーツ施設を作りたい。」

と答えてくれました。五島さんは大学でスポーツ健康学を専攻しており、福井に貢献したいという気持ちを強くお持ちだと感じました。

おちょきんの魅力と、これからのおちょきん

2020年度は、新型コロナウイルスの影響でほとんど活動ができなかったと言います。「福井人と語る会」も、例年より遅らせて年明けに計画していたそうですが、感染状況を鑑みて中止を決定しました。

そんな中、2020年の夏頃、五島さんは代表に就任されました。おちょきんでの在籍が最も長かったことから五島さんが選ばれたそうですが、「気持ちよく引き受けてくれた」と県職員の山口さん。おちょきんへの思い入れが強い五島さんですが、今後はメンバーを増やすことが課題だと考えておられます。

現在のおちょきんは、2020年度を以て大学を卒業する人が多く、春からメンバーが少なくなってしまうそう。五島さんは、自身がおちょきんから大きなものをもらったように、何らかのメリットを感じてもらうことが、メンバーにとって大切だと考えています。そのため、おちょきんの目的をもっとはっきりと発信してきたいと話されています。

最後に、おちょきんの魅力を尋ねたところ、「東京に来ても福井弁で話せて、落ち着ける場所であること」だと話してくれました。

「大好きな福井を東京で一緒にPRしましょう!」

五島さんは、これから首都圏で大学生活を送る福井出身の学生に対して落ち着ける場所を提供したい。そうして集ったメンバーにおちょきんの活動を担っていってほしいと考えておられます。コロナ禍での大学生活には戸惑いがつきまとっていますが、そんな中おちょきんは、福井出身者に安心と交流の場を提供する役目を果しているのかと感じました。

春から東京へ進学される方は、ぜひ下記にご連絡を。

学生団体おちょきんへの連絡はTwitterのDM、または福井県東京事務所までお願い致します。

【Twitter】
https://twitter.com/ochokin_fukui

【福井県東京事務所】
住所:〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-3 都道府県会館10階
電話番号:03-5212-9074
 FAX:03-5212-9076
メール:tokyo@pref.fukui.lg.jp
担当:山口

【インタビュー】
・神田智衣(早稲田大学2)
・鳥潟かれん(早稲田大学4)
【文】
・神田智衣(早稲田大学2)